一部の動物は生存が困難な環境において、休眠(英語ではtorpor)と呼ばれる低体温・低代謝状態に入り、エネルギーを節約して生き延びることができます。休眠はその期間の長さから2種類に分類され、冬期に数日間から数週間に渡って休眠に入ることを「冬眠」、24時間以内に終了する休眠を「日内休眠」と呼びます。これまでにげっ歯類や霊長類を含む200以上の動物種が冬眠・休眠に入ることが知られています。
中枢神経系、特に脳の視床下部が、体内の栄養状態、環境温度、概日・概年リズムなどの情報を統合し、冬眠や休眠の開始・維持・終了を制御すると考えられていますが、まだその詳細なメカニズムはわかっていません。私たちのグループでは、マウスやハムスターをモデルとして、透明脳を用いた全脳スクリーニング、光遺伝学、in vivo遺伝子編集技術などを用いて、冬眠・休眠を制御する神経回路の解明に取り組んでいます。